ヒバ(アスナロ)は彫刻に向く?「香りと耐久性をもつ木」と言われる理由

ヒバの基本情報

青森ヒバ 出典:東北森林管理局ウェブサイト(https://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/syo/aomorizimusyo/hibatoha.html)

ヒバはヒノキ科の針葉樹で、別名アスナロ(翌檜)とも呼ばれる木です。
本州から九州にかけて分布していますが、特に青森県にはヒノキアスナロ
と呼ばれる北方型の変種があり、「青森ヒバ」として知られています。

青森県の下北半島や津軽半島には美しいヒバ林が広がり、青森ヒバは地域の特産材として流通しています。

ヒバは天然林の数が多くないため、大径木があまり出回らず、大きな丸太や太い角材は比較的入手しにくい木材とされています。

木彫家 植草等雲先生から教えていただいた内容と、書籍等での情報をまとめます。


ヒバ材の特徴

表皮の残るヒバ材
項目内容
分類針葉樹
彫刻特性★★★(最高)
硬さ中くらい
手取りの重さやや軽い
主な用途宗教・儀礼(仏像など)

→木彫の用途について詳しくはこちら

ヒバ材は耐久性や耐水性に非常に優れた木材として知られています。
古くから建築材として重宝され、特に水回りや湿気の多い場所で使用されてきました。

その理由の一つが、ヒバに多く含まれるヒノキチオールという成分です。
この成分は強い抗菌作用や防虫効果を持ち、ヒバの森では蚊やハエがほとんど見られないとも言われています。

また、ヒバ油(ヒノキチオールを含む精油)は現在でもさまざまな製品に利用されています。


ヒバの主な用途

ヒバ材は耐久性と防腐性の高さから、主に次のような用途に利用されています。

  • 建築材(土台、柱、根太など)
  • 浴室材
  • 土木材(橋梁など)
  • 輪島塗の木地
  • 彫刻材(仏像など)

特に湿気に強く腐りにくいという性質から、伝統建築や水回りの材として重宝されてきました。


彫刻材としてのヒバ

ヒバの木口と柾目

ヒバは刃物の切れ味がよく、非常に軽快に削れる木です。
刃物が入る感触は滑らかで、加工自体は比較的しやすい木材といえます。

ただし、この木には大きな注意点があります。
ヒバは裂けやすい性質をもっており、横方向の加工や逆目で削ると、深く割れが入ってしまうことがあります。

また、材は乾燥の過程でも割れやすいため、加工した後は直接風に当てないようにするなど、慎重な扱いが必要です。

このような性質から、彫刻材として使う場合は木目の方向をよく見ながら慎重に彫る必要がある木といえます。


彫刻材としての評価(向き・不向き)

ヒバは彫刻材として次のような特徴があります。

向いている点

  • 刃物の切れ味がよく削りやすい
  • 軽く扱いやすい
  • 防腐・防虫性が高く耐久性に優れる

注意点

  • 非常に裂けやすい
  • 逆目や横削りで割れが入りやすい
  • 大径材が入手しにくい

そのためヒバは、扱いには注意が必要ですが、香りと耐久性を備えた個性的な彫刻材といえるでしょう。


参考文献

  • 木彫家 植草等雲氏による解説・資料
  • 誠文堂新光社『原色 木材加工面がわかる樹種事典』

ほか参考資料


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